睡眠時無呼吸症候群
家族や周囲の人に「いびきが大きい」「眠っているときに呼吸が止まっていた」
と言われたことはありませんか。
夜間に十分な睡眠時間をとっているはずなのに、日中に眠くなって困るという
人がいます。このような場合、大きないびきをかき、睡眠時に無呼吸があるなど、
夜間の睡眠中の呼吸に問題が見られることがよくあります。
☆いびきのメカニズム
鼻から入った空気は、のどを通って気管・肺に入ります。この空気の通り道(気道)のどこかが狭くなると、その部分を無理に空気が通ろうとするために
”いびき”がおこります。
元来睡眠中はのどの周囲の筋肉が緩み、仰向けに寝ると、舌のつけ根の部分
(舌根:ぜっこん)やノドチンコ(口蓋垂:こうがいすい)の周囲の粘膜(軟口
蓋:なんこうがい)がのどの奥に落ち込み気道が狭くなります。健康な人であれ
ば、たとえ気道が狭くなっても、塞がることはありません。これに、いくつかの
原因が加わることで”いびき”が発生するわけです。
☆いびきの原因
1. 肥満、首の太い人:気道が狭くなります
2. 飲酒、疲労:普段より睡眠中には筋肉の緊張が緩みます
3. 老化:加齢とともに、筋肉や粘膜がたるみ気道が狭くなります
4.鼻・口腔(口の中)・咽頭(のど)の病気:主なものは、慢性副鼻腔炎
(蓄膿症)、アレルギー性鼻炎、扁桃肥大などがあります
☆「睡眠時無呼吸症候群」
気道が塞がって呼吸が止まると、新鮮な空気が入ってこないために、血液中の酸素が減ってきます。こうなると、眠っていた脳が目覚め、呼吸を再開するよう
に指令を出します。 呼吸が止まってから再開するまでの時間には個人差がありま
すが、多くの場合、数十秒以上たってから、大きないびきとともに呼吸が再開し
ます。しばらくして、また眠ると、再び筋肉が弛緩して気道が塞がります。無呼
吸ごとに、脳は繰り返し目覚めて指令を出す必要が生じるため、まとまった質の
よい睡眠をとることができません。 それで、「夜間に十分睡眠をとっているのに、
日中眠くなる」という現象が起こるのです。
このようないびきがひどく、睡眠中”呼吸が止まる状態”が現れる人の中で、
10秒以上の呼吸停止が7時間の睡眠中に30回以上または、1時間の睡眠中に
5回以上認められるものを”睡眠時無呼吸症候群”といいます。
この病気になると、熟睡できず慢性的な睡眠不足となり、いびき以外にいろいろ
な症状が出てきます。
1.早朝の頭痛
2.昼間よく眠くなる:交通事故を起こす確率が高くなるという報告もあります。
3.集中力、記憶力の低下:仕事の能率が低下したり、子供の場合発育障害や勉
学の遅れを生じる事となります。
4. 高血圧、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの病気にかかりやすくなる:
中等度以上の睡眠時無呼吸症候群の場合、高血圧になる危険性は普通の人に比 べて
約3倍というデータもあります。その結果、寿命が短くなる報告も出ています。
隣でいびきをかいている人がいたら注意深く観察してみて下さい。
1、 いびきをかいている間に静かになる時間がある
2、 何度も寝返りを打つ
3、 小児の場合、睡眠中に胸が大きくへこむ
この様な人は要注意です。呼吸をしていない時間があるかもしれません。
☆いびきの診断
1、 観察
まず、同居している家人によく観察してもらいます。意外と「いびき」を本人
が自覚していないことが多く見られます。 「いびきがあるかどうか」 あれば、
「呼吸が止まっていることがあるかどうか」 何日かに渡って観察してもらって
ください。いびきをかいて寝ているところをビデオ撮影しておけば、自覚の無
い本人も納得しやすいでしょう。
2、 いびき以外の症状(前述)
ここで、「いびきがひどい」「無呼吸がありそうだ」と思ったら、耳鼻咽喉科
専門医を受診してください。その際、家人が同伴して「いびきがどのくらいひ
どいか」を医師に説明することが重要です。前述のビデオを持参すれば、完璧
です。
3、 耳鼻咽喉科的診察
鼻〜口腔〜咽頭〜喉頭を診察して、原因となるような耳鼻咽喉科疾患の有無を
確認します。
4、 睡眠ポリグラフ検査
睡眠時無呼吸症候群をきちんと診断するためには、「睡眠ポリグラフ検査」が
行われます。
これは、患者さんの体にいろいろな検査端子をつけて、その状態で眠ってもら
い、睡眠中の脳波や筋電図などを調べる検査です。また、血液の酸素飽和度(最
も多く酸素を取り込んだ状態を100とし、血液中の酸素がどの程度あるかを表す)
も調べます。酸素飽和度は、睡眠中でも96〜98程度あるのが普通ですが、無呼吸
の状態になると、90以下まで(ひどい人は、70ぐらいまで)低下してしまう人も
います。
検査は、原則として一泊入院でおこなわれ、一晩眠ったときのデータが集めら
れます。こうして得られた検査結果を分析することで、睡眠中に無呼吸がどの程度
起きているのかを、正確に把握することができます。(最近は、ポータブルタイプ
の機械で、自宅で寝ながらこの検査(簡易タイプ)を受けることもできますので、
入院の難しい方も検査可能になっています。)
☆いびきの治療
1、生活習慣の改善
@ 減量
太っている人は、まず減量です。これだけでもいびきがなくなる人もいます
A 生活のリズムを規則正しくする。
アルコールは筋肉を弛緩させるため、気道の閉塞が起こりやすくなります。
就寝前は、飲酒を控えるようにします。睡眠薬にも筋肉を弛媛させる作用があるの で、服用には注意が必要です。
B 横向きに寝る
あお向けで眠ると、気道を塞ぎやすくなるため、横向きに眠ることが勧められ
ます。
パジャマの背中にポケットをつけ、そこにテニスボールなどを入れておくと、
あお向 けでは眠りづらくなるため、横向きで眠る習慣がつきやすいでしょう。
2、 鼻・口腔・咽頭などの病気の治療
特に鼻の病気(アレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎)の場合、薬でかなり軽減され
る事があります。効果のない場合や薬による治療法のない場合、外科的治療(手
術)を行うことになります。
外科的治療としましては、鼻のなかの粘膜や骨を一部除去し鼻を通りやすくした
り、扁桃腺の切除や口蓋垂(ノドチンコ)の付近を切除してのどの形成(口蓋垂
軟口蓋形成術)を行うなど患者さんの状態によって様々です。いくつかの手術を
組み合わせて行うこともあります。子供の場合は、アデノイドと扁桃腺の切除が
中心となりますが、手術で劇的に症状が改善することもよくあります。
3、マウスピース
眠る前にマウスピースを装着することで、下あごを前方に引き出した状態で固定
し、気道が塞がるのを防ぐ方法もあります。
マウスピースは患者さんの歯や口の形状などに合わせ、歯科医師が作成します。
睡眠障害の専門医と連携をもつ歯科医師に作成してもらうことが大切です。
4、CPAP(経鼻的持続陽圧送気法)
睡眠時無呼吸症候群の治療法で、多くの患者さんに対して最も有効なのが、
「CPAP(シーパップ)」という装置を使った治療です。
CPAPは、送風ポンプを備えた本体とエアチューブと鼻マスクから成り、患者さ
んは鼻マスクを装着して眠ります。そして、睡眠中に、一定の圧力を加えた空気
を、鼻から気道に送り込みます。これによつて、舌や軟口蓋が押し上げられるた
め、気道が塞がらずにすみます。空気圧は、患者さんの気道閉塞の程度に合わせ
て、調節します。
なかには、鼻マスクに慣れるまでに時間のかかる患者さんもいますが、CPAPを
使うと無呼吸による症状が消え、ぐつすり眠ることができるため、ほとんどの患
者さんは、抵抗感なく使用できるようになります。
この治療には、健康保険が適用されますので、医療機関から装置を借りて使用す
ることになります(月に一度、医師の診察を受けることが必要です)。
”いびき”は、他人に迷惑をかけるだけでなく、本人の健康をも左右しかねませ
ん。特に子供の場合、自分で睡眠障害を訴えることはありません。周囲の家族の人
の注意が必要となります。
”いびき”は、一つの原因だけでおこることは少なく、いくつかの要因が関与して
います。”いびき”のひどい人(特に、睡眠時に無呼吸のある人)は、一度耳鼻科
咽喉科専門医の診察を受けることをお勧めします。
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睡眠時無呼吸症候群に関するサイトも参考にしてください
http://ibiki.net/sas-tei.htm
http://www.nms.ac.jp/NMS/4med/SAS/
http://www.sas-info.jp/aboutsas/index.html
http://www.good-sleep.gr.jp/sas/
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【かかりつけ医通信】第43号
X-Url: http://www.mag2.com/からの引用です |