*健康教室 六甲ハートクラブ 動脈硬化と高脂血症の話

動脈硬化と高脂血症の話

ご注意!動脈硬化と高脂血症のお話

●ご注意!動脈硬化と高脂血症のお話

高血圧、高脂血症、糖尿病は心臓病や脳卒中をひきおこし、これらには食習慣、運動習慣、喫煙、飲酒といった生活習慣の歪みが関与しているため、厚生省は1996年に従来の「成人病」にかえて「生活習慣病」と名づけました。今回は動脈硬化と高脂血症についてお話しします。


 

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神戸市灘区 竹内内科・循環器科 健康へのヒント 高脂血症は「しのびよる殺人者(サイレントキラー)」!

●高脂血症は「しのびよる殺人者(サイレントキラー)」!


動脈硬化ってどんな病気なんでしょうか?動脈硬化とは血管の壁が厚くなり弾力を失い硬く、内腔が狭くなり血液の流れが悪くなっている状態を云います。年をとるとともに誰にでもみられる変化ですが、動脈硬化が強くなると血管の流れる臓器(心臓、脳、腎臓、手足)の働きに障害がでます。この動脈硬化を進行させる因子として高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙、運動不足、ストレスがあります。特に血液の中にコレステロールが増えている高脂血症では、コレステロールが動脈壁の中に入り込み、粥のような塊をつくり、血管壁が厚くなり血管の内腔が狭くなります。一般的には症状がでてくるのは血管が75%ぐらい詰まってからですが、25%程度の狭窄が急に100%完全閉塞に進むこともあります。つまり高脂血症が動脈硬化を起こし、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、腎不全、大動脈瘤などの命にかかわる重大な病気を引き起こします。症状が無く、気づかないうちに動脈硬化を進行させる高脂血症は「しのびよる殺人者(サイレントキラー)」と云えます。

 

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神戸市灘区 竹内内科・循環器科 健康へのヒント 善玉コレステロールと悪玉コレステロールって何?

●善玉コレステロールと悪玉コレステロールって何?


私たちの血液中のコレステロールは食事の中からとりこまれる分が約2割、残りの約8割は肝臓で合成されます。コレステロールそれ自体は生体に必要な物質で、組織の細胞膜を作る原料になったりホルモンの材料になります。コレステロールの中で代表的のものにHDLコレステロールとLDLコレステロールの二つがあります。HDLコレステロールは血管の壁からコレステロールを取り去って肝臓に運ぶ作用があり、動脈硬化を防止することから「善玉コレステロール」と呼ばれています。一方、LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれ、血管の壁に付着して動脈硬化を進行させます。特にLDLコレステロールが変性したり酸化するとLDLコレステロールの性質がさらに悪くなって血管壁に取り込まれやすいことが知られています。事実、血液中のLDLコレステロールが高ければ高いほど、狭心症や心筋梗塞の発症が多くなることが海外でも国内でも明らかにされています。

 

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神戸市灘区 竹内内科・循環器科 健康へのヒント 中性脂肪が増えると?

●中性脂肪が増えると?


高脂血症の一因である中性脂肪が多いとどうなるのでしょうか?中性脂肪はコレステロールのように血管の中にたまるわけではありませんが、血液中の中性脂肪が高いと、血栓ができやすくなり、やはり心筋梗塞や脳梗塞を発症させる原因となります。また中性脂肪は悪玉コレステロールの数を増やすととも悪玉コレステロールの性質を悪化させ、善玉コレステロールを減らしてしまう働きがあります。さらに中性脂肪の高いことが高血圧や肥満、糖尿病を招きます。

 

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神戸市灘区 竹内内科・循環器科 健康へのヒント 中・高年女性とコレステロール

●中・高年女性とコレステロール

 男性と女性の年代別コレステロール値を比較すると40代までは男性のコレステロール値のほうが高く、女性のコレステロール値は200mg/dl前後ぐらいです。しかし、それ以降の年代になると女性の値が上回ります。これはコレステロールと女性ホルモン(エストロゲン)に深い関わりがあるからです。日本女性の平均閉経期は50歳前後です。これとほぼ同時期にコレステロール値が増加します。閉経後、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下し、肝臓でのLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の処理能力が衰え、血液中のLDLコレステロールが増えてきます。また女性ホルモン(エストロゲン)にはLDLコレステロールの酸化防止作用や血管の保護作用があるといわれています。このため女性は閉経後にコレステロール値が上昇し動脈硬化が急速に進行しますので特に注意が必要です。

 

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神戸市灘区 竹内内科・循環器科 健康へのヒント 高脂血症の治療は?

高脂血症の治療は?

総コレステロール220mg/dl以上、HDLコレステロール(善玉コレステロール)40mg/dl以下、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)140mg/dl以上、中性脂肪150mg/d以上であれば、初めは食事療法や運動療法などの生活指導をうけ、改善がなければお薬による治療を始めます。高脂血症以外に狭心症や心筋梗塞の既往歴・家族歴のある方、また高血圧・肥満・糖尿病・喫煙習慣を併せもつ方は、動脈硬化の危険性がより高いので、高脂血症の程度が軽くても治療が必要です。食事療法はまず食べすぎない、植物性の脂肪を上手にとる、レバーなどの内臓類をひかえる、食物繊維を多めに食べるように心がけてください。運動もHDLコレステロール(善玉コレステロール)を増加させ、総コレステロールや中性脂肪を低下させる効果があります。このように食生活を改善し、適度な運動を行うことで動脈硬化は予防でき、また動脈硬化の進んだ方でもさらなる悪化をくいとめることができます。


 

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神戸市灘区 竹内内科・循環器科 健康へのヒント 「酒は百薬の長」か?赤ワインの効用

「酒は百薬の長」か?赤ワインの効用

高級料理の代表として名高いフランス料理。フランス人が毎日、フルコースを食べているかは別として、肉や乳成品、動物性脂肪を多くとっているのは事実でしょう。このようなフランス人はさぞかし狭心症や心筋梗塞の発症率が高いと思われます。所が実際には狭心症や心筋梗塞の死亡率はヨーロッパで最下位という数字になっています。これがフレンチ・パラッドックスと呼ばれる謎です。最近、お昼のテレビ番組「思いっきりテレビ」でも取り上げられ全国的に大ブームになりましたが、この謎解きに赤ワインが注目を集めています。フランス人一人当りのワイン消費量はイギリス人の6.5倍、ドイツ人の2.5倍、なんと日本人の70倍になります。このワインの消費量と狭心症や心筋梗塞の死亡率の関係を調べるとワインの消費量が多いほど死亡率が少ないことがわかりました。そして赤ワインがLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化変性を防止することがその後の研究で明らかにされたのです。この抗酸化作用は赤ワインに多量に含まれるポリフェノールという物質によるものとされ、ぶどうの果皮や種を取り除いて果肉だけを発酵させて作られる白ワインには含まれていません。まさに「酒は百薬の長」といえるたのしいお話しですが、研究に使用されたワインはフランス南部の超高級ワインで一本一万円近くするといわれ、そんな赤ワインでも当然、飲みすぎては肝臓にも悪く、中性脂肪が高値になります。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化変成を防ぐものは何も赤ワインだけではありません。わざわざ赤ワインをせっせと飲まなくとも、私達の身の回りの「穀物の杯芽、豆類、種子類、植物油」、また「ほれんそう、にんじん、かぼちゃ」などの緑色野菜に抗酸化成分が豊富に含まれています。心臓病や脳梗塞になることを心配するより、心臓病や脳梗塞にならない日常生活を何より大切にして下さい。次回はやはり動脈硬化の危険因子である糖尿病についてくわしくお話しします。


 

 

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